トラウマと自律神経失調症の間には深い関連性があり、
トラウマは自律神経系の不調を引き起こす大きな要因の
一つとされています。
自律神経は、私たちの意識的なコントロールを介さずに、
心臓の鼓動、呼吸、消化などの身体の基本的な機能を管理していますが、
トラウマがこのシステムに強く影響を与えることが分かっています。
トラウマと自律神経の関連性
トラウマは、交感神経と副交感神経から成る自律神経系を
過剰に刺激し、バランスを崩すことがあります。
例えば、トラウマ体験により身体は
「闘争・逃走(fight or flight)」反応を引き起こし、
交感神経が過剰に働く状態が続くと、
慢性的なストレス反応が生じます。
これに対して、副交感神経が過剰に働くと、
極度の疲労感や脱力感に襲われる「フリーズ(凍り付き)」反応が起こります。
このように、トラウマは自律神経の調整機能を乱し、
バランスが崩れることでさまざまな不調が引き起こされます。
トラウマによって現れる自律神経症状
トラウマが原因で現れる自律神経失調症の症状には、
以下のようなものがあります。
⇒ 交感神経の過剰活動による症状
- 心拍数の上昇
- 呼吸困難や過呼吸
- 発汗の増加
- 血圧の上昇
- 不安感、焦燥感、恐怖感
- 不眠症や浅い眠り
- 消化不良、胃の不快感
- 慢性的な痛み
⇒ 副交感神経の過剰活動による症状
- 極度の疲労感、倦怠感
- 身体の重さや動かしにくさ
- 低血圧
- 頭痛やめまい
- 腸の機能低下(便秘や下痢)
- 動機喪失や抑うつ感
⇒ フリーズ反応に関連する症状
- 無気力感や感情の麻痺
- 注意散漫、集中力の低下
- 身体の緊張やこわばり
- 胃腸の不調、食欲不振
自律神経失調症へのアプローチ
トラウマに対するセラピー(特に身体志向のセラピー)は、
トラウマによって過敏になった自律神経系の再調整を目的とします。
具体的には、呼吸法、漸進的なリラクゼーション、マインドフルネス、
適度な運動などを取り入れることで、
自律神経のバランスを取り戻すことが期待されます。
自律神経バランスの調整やソマティックセラピーは、
トラウマが引き起こす自律神経症状の改善に
非常に有効なアプローチです。