はじめての方へ

以下について、ご説明します。

セラピスト紹介
起業の理念
慢性痛とトラウマ

セラピスト紹介

はじめまして。当オフィスの代表でありセラピストの
志村秀実しむらひでみと申します。
日本ではまだ少ない方法で慢性の痛みを改善する、
慢性痛専門トラウマセラピストです。

志村秀実(しむら ひでみ)  代表セラピスト

東京西エリアの精神科病院にリハビリセラピストとして18年勤めた後、
慢性痛のカウンセリングオフィス・シンシンを設立。

カウンセリング、トラウマケア、リハビリを専門とする。

トラウマセラピスト(ソマティック・エクスペリエンシング(R)・プラクティショナー)
臨床心理士、公認心理師、作業療法士

セラピストの履歴

精神科内科でこころとからだのリハビリテーションに18年従事。
延べ約2万人の患者様のリハビリを行ってきました。

カウンセリングの技法に加え、
アメリカのトラウマセラピーをリハビリに導入して、
慢性の痛みを改善し、こころとからだの回復と
退院支援に貢献してきました。

高齢化と合併症の進む精神科病院で、
それまで少なかった個別の身体リハビリを立ち上げました。

同時に、心の問題の大きさ重さの前に、リハビリの困難に直面します。
そこで、こころのケアとアプローチの重要性を痛感し、
心理士養成大学院に進学し、カウンセリングの2大専門資格を取得しました。

リハビリに心理の視点と患者様の語る物語の視点を導入し、
患者様のリハビリへのモチベーションをアップしてきました。

ところが、業務と勉強で多忙を極め、
自分自身が朝起きたらまったく身体が動かないというぎっくり腰体験を経て、
痛みの問題の大きさを痛感させられました。

その後、山口大学慢性疼痛管理学コース修了、
厚生労働省慢性疼痛診療人材育成事業研修会受講、
さらに慢性的な痛みの背景にあるトラウマや愛着の問題を認識し、
その改善をはかるセラピー技術の導入により、
心身の安定と痛みの改善と退院支援に実績をあげてきました。

資格

身体指向トラウマセラピスト
(SEP:ソマティック・エクスペリエンシング(R)・プラクティショナー)
臨床心理士(カウンセリング民間資格)
公認心理師(カウンセリング国家資格)
作業療法士(リハビリ国家資格)
修士(臨床心理学、哲学)

所属学会

日本トラウマティック・ストレス学会
日本慢性疼痛学会
日本心理臨床学会
日本心理学会
日本臨床心理士会
日本作業療法士協会

起業の理念

当オフィスの目的

慢性痛とトラウマの関連性は、日本ではまだほとんど
表立って問題にされることはありません。
その理論と考え方と治療法について、普及啓発を進め、
回復の歩みを踏み出せる人を一人でも多く増やしていくことが、
当オフィスの目的です。

当オフィス設立に至ったきっかけ

私は、東京西エリアの精神科病院で、約18年間、
こころとからだのリハビリテーションを提供していました。

そこで、痛みのある患者様にたくさん出会いました。
多くの方が、なかなか治らない痛みに悩んでいます。
こうした痛みは、「慢性の痛み」「慢性痛」と言われます。

「慢性の痛み」は、10年前よりはずっと注目されるようになってきています。
近年、こうした慢性痛が、正式に診断名に加えられるようになりました。

厚生労働省は、慢性痛に対応できる人材育成事業を全国で展開しています。
専門の医療機関も、少しずつですが増えています。

しかし、現状では慢性痛の問題を正面切ってとりあげる医療機関は
少ないのが現状で、慢性痛対策の必要性が求められる中、
「慢性の痛み対策基本法」制定のためオンライン署名が呼びかけられています。
(2023年5月~)

それに反して巷には、慢性痛のマッサージや鍼灸や整体や接骨院が
とてもたくさん存在することは、医療では取り扱われていない
そのニーズの多さを象徴しています。

しかし、これだけさまざまな慢性痛の対応がとられているようにみえて、
日本ではまだ取り上げられることの少ないアプローチが存在するのです。
そのアプローチ法に出会い有効性を実感した体験を得られたことが、
起業に踏み出す大きなきっかけとなりました。

慢性痛への一般的な治療法

痛みを和らげるためには、多くの場合、お薬を使いますが、
慢性の痛みに対しては、良くならないことが指摘されています。

副作用で胃が荒れたりすることも少なくありません。
ひどいときには消化管の出血が起きることもあります。
また、手術をしても、痛みの改善率は高くありません。

慢性の痛みは、お薬でも手術でもよくならないことが多く、
その心理社会的な要因が以前から指摘されるようになってきました。

そこで、慢性の痛みへの、心理療法とくに認知行動療法からのアプローチが
着目されるようになってきています。
認知行動療法は、エビデンスも多く、信頼性が高い治療法とされています。

しかし、日本では慢性痛にトラウマが関連していることは、
まだほとんど知られていません。
慢性通とトラウマに関連性があることは、
エビデンスが少ないと考えられているようです。

慢性痛とトラウマの関連性に気づいたきっかけ

精神科病院で働いていた私は、心のご病気の背景に、
トラウマがあることが指摘されるようになってきたことから、
慢性的な痛みとトラウマの関連性にも、気が付くようになりました。

アメリカでは慢性痛とトラウマの分野の研究もされ始めています。
そうした論文をリサーチして、両者の関連性に確信を得ました。

日本でも、熊谷晋一郎先生というご自身が脳性小児まひで小児科医の医師が、
慢性痛とトラウマの関連性について明確に指摘した論文・著作を発表しています。

一般的にはまだ十分に知られていないとはいえ、
ほかにもさまざまな先生が指摘されるようになってきてはいます。
それらにも多くを教えられました。

日本の現状

日本でも、2024年度から、正式に医療機関でトラウマ治療が
可能になりました。2年間、月2回までです。
月に2回でもトラウマ治療が認められたことは快挙と言えるでしょう。

しかし、私が勤務していた病院を含め、おそらく多くの一般の精神科では、
まだまだトラウマの治療を専門にできるところは限られている現状があります。

整形外科やペインクリニックなどの一般に慢性的な痛みの治療を
行っている施設も、トラウマと慢性の痛みの関係を前面に出している
施設はほとんどありませんし、
トラウマケアの観点から痛みを治療する施設はまずありません。

慢性痛などの症状とトラウマの関連性は、
トラウマセラピストには周知の事実です。
しかし、トラウマセラピストは、慢性痛を専門に扱う人はほとんどいません。

認知行動療法を中心とした慢性痛への介入アプローチは
注目されていますが、まだまだ実施できる人は限られています。
しかも、認知と行動への介入だけでは、
慢性の痛みに対するのは、不十分と考えます。

転換点、身体指向のトラウマセラピー

そこで私は、身体指向のトラウマセラピーに着目し、
研修を積み重ねるなかで、その有効性を確信しました。

身体指向のトラウマセラピーは、
これまでにない繊細な身体感覚に着目し、
自律神経バランスを整え、身体の自然治癒力を引き出し、
トラウマ症状だけでなく、
トラウマを要因とするさまざまな痛みなどの症状にも
改善をもたらすことができるものです。

日本を含めこれからの慢性の痛みの改善には、
トラウマの要因を抜きには考えられなくなってくるのではないか
と思っています。

そこで、病院の外に出て、慢性痛に悩む方に、
トラウマセラピーの観点から、一人でも多く改善を実感していただきたい、
そこにカウンセリングの視点と、リハビリテーションの視点を加味して、
お薬や手術に頼りたくないという方に向けて、
よりよい改善サービスを提供して、
慢性痛の改善と生活の質の改善のために社会に貢献したい、
そういう思いで開業を決意しました。

慢性痛とトラウマ

1.慢性痛とは

まずは、慢性痛について概略をお示しします。

世界と日本の慢性痛の現状データ
慢性的な痛みに悩む人は、世界の人口の20%(5人に1人)、
日本では22.5%(4.4人に1人)の割合となっています。

痛みの部位は、日本のデータによれば、
腰痛(55.7%)、四十・五十肩,肩こり(27.9%)、
頭痛・片頭痛(20.7%)、関節炎(12.9%)、腹痛などがあります。

急性痛と慢性痛の違い
一番の違いは、その持続期間にあります。
持続期間について、急性痛は慢性痛より短くて、
急性痛では3か月未満です。
慢性痛では3か月~6か月以上です。

つまり、急性痛は、ケガした直後から治るまでにおこるものを言います。
いっぽうで慢性痛は、ケガが治ったにもかかわらず、
痛みが治らず持続してしまっているものを言います。
慢性痛では、気持ちも落ち込み、不安な気持ちでいっぱいになってしまいます。

痛みの分類をもう少し詳しくみると、
「急性痛」は、ケガの回復期間を超えないのに対して、
「慢性痛」は、ケガの回復期間を超えて続きます。

その「慢性痛」のうち、「急性痛を繰り返す慢性痛」と、
なかなか治りが困難な「難治性の慢性痛」にわかれます。

いずれも、睡眠障害、食欲低下、便秘、生活動作の抑制がみられます。
また、抑うつ、不安、ネガティブ思考が、特徴です。
とくに「難治性の慢性痛」では、脳や自律神経系の変化や、
心理社会的な要因の影響がとても大きくあります。

痛みの要因
つぎに、痛みの要因をみます。
大きく分けて、下の図のように大きく3つに分けられます。
①侵害受容性の痛み
②神経障害性の痛み
③心理社会的要因による痛み
(③新たに「痛覚変調性疼痛」とされます。)

①②が器質的なものに対して、③が非器質的・機能的とされます。

しかし、これは一般的な教科書的な分類であって、
実際にはもっと複雑に要因がからまりあっているのが現実と考えられています。

そのため、より現実を反映した図を描くとすれば、
以下のような図になります。

色が重なった状態がうまく表現できませんでしたが、
それぞれの要因がグラデーションのように重なっていて、
どこからどこまでと明確に判別することが難しくなっている状態です。

慢性痛の一般的な治療法
慢性痛の一般的な治療法は、以下のようなものがあります。

①薬物療法
②神経ブロック
③一般的なリハビリテーション(機能回復訓練)
④手術

ところが、これらは慢性痛に対しては、
どれも効果は低いものにとどまる場合が多いことが知られています。
もちろん、こうした治療に効果がないわけではありません。
しかし、効果が低かったり副作用があったりしても使い続けると、
さまざまな問題が発生する場合があることが現場レベルでは知られています。

こうした状況から、病院や高齢者施設の現場をみてきたセラピストから、
『慢性疼痛』は治せず、痛み止めと湿布で対処療法をするしかないという、
現代医学の穴です」(兼子ただし,2023)と指摘されています。

さらに同氏によれば、「悲しいことに、不良姿勢も慢性疼痛も、
病院にとっては、お金になりにくい分野」であり、
「ケガや骨折ではないけれど痛みがある『慢性疼痛』と呼ばれる分野は、
現代の医学ではカバーできていない盲点」と鋭く言及されています。

2.トラウマとは

「トラウマ」という言葉を聞くと、命に関わるような重大な出来事や、
深刻な心の傷を想像する方が多いかもしれません。
しかし、実際にはトラウマはもっと幅広いものを指します。

まず、一般的に知られている「大文字Tのトラウマ」とは、
命の危険に直面するような出来事、例えば自然災害や事故、
暴力などです。

これらは非常に強烈で、心身に大きな影響を与えることが多く、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)としても知られています。

一方で、「小文字tのトラウマ」は、それほど大きな出来事ではなくても、
個人にとっては対処しきれないストレスや心の傷を意味します。

例えば、繰り返し経験する否定的な言葉や、
期待され続けることの重圧なども、これに含まれます。
これらは命に関わるわけではないですが、
心に徐々に負担をかけ、
気づかないうちに心身に影響を与えることがあります。

さらに、トラウマには、成長過程で受ける「発達性トラウマ」や、
「陰性外傷」と呼ばれる目立たない心の傷もあります。
これらは、幼少期に繰り返し経験する親や他者との関係の中で生じ、
自分自身や他者に対する信頼感や安心感に影響を与えることがあります。

大きな症状が現れることは少ないかもしれませんが、
日常生活や対人関係において、
安定した自信を持てないなどの問題を引き起こす可能性があります。

また、大文字のトラウマも小文字のトラウマも、その程度に応じて、
さまざまな自律神経の問題を引き起こす可能性があります。

このように、トラウマは一つの形ではなく、命に関わる大きなトラウマから、
日々のストレスが蓄積していく小さなトラウマまで、
さまざまなスペクトラムとして捉えられるものです。

重要なのは、どのタイプであっても、
その人にとっては無視できない影響を持つという点です。

3.慢性通とトラウマの関係とは

慢性痛とトラウマには、深い関係があります。
トラウマとは、心や身体が経験する強いストレスや傷つきによって起こるもので、
その影響は心だけでなく、身体にも現れることがしばしばあります。

この「心と身体のつながり」は、慢性痛に大きな影響を及ぼす重要なポイントです。

例えば、命に関わる大きな出来事(大文字Tのトラウマ)や、
日常の中で感じる対処できないストレス(小文字tのトラウマ)が、
私たちの身体に緊張やストレス反応を引き起こします。

これが繰り返されたり、長期にわたって続くと、
身体がそのストレス状態を「記憶」し、
常に警戒モードになってしまうことがあります。
このような状態は、痛みを感じやすくしたり、
痛みが慢性化する原因になることがあります。

また、トラウマは自律神経系に影響を与え、
身体の自然な回復力やストレス解消能力が低下することがあります。
これによって、身体の痛みが治りにくくなるばかりか、
慢性痛が悪化したり、広がったりすることもあります。

とくに、子どものころにトラウマを経験した場合や、
繰り返しストレスを感じる状況にいる場合、
痛みが長引くリスクが高まることが研究で示されています。

さらに、トラウマを経験した人は、自分の身体に対する信頼感や
安全感が損なわれることがあり、
痛みの管理が難しく感じられることも少なくありません。
その結果、痛みが心の負担としても感じられ、
痛みとストレスが悪循環を引き起こすことになります。

まとめると、トラウマが心に与える影響は身体にも現れ、
とくに慢性痛に結びつくことがあります。

痛みを軽減するためには、身体と心と感情がすべてつながったものとして
アプローチする必要があり、それによってストレスやトラウマをケアすることが、
痛みの改善に役立つという視点が重要です。